三万円の不思議な薬
三万円の不思議な薬。
プロローグ
女の子は、とても絵が下手です。
おえかき大会でいつも自分より上手な友達に素敵な絵を沢山貰っているのに、自分は友達に下手な絵しか渡せない事にいつも申し訳なさを感じていました。
自分のあげた絵に対しての友達はいつも「ありがとう」と言ってくれます。でも、友達は優しいからきっと下手な私を傷つけないために気を使ってくれてるんだと思いました。
女の子は、友達のくれた素敵な絵に相応しいお礼の絵を描きたいと頭では思っているのに、実際は、稚拙的で幼稚な絵しか描けません。
そのことをとても悲しく思いました。
「すぐにでも友達の素敵な絵に分不相応でない絵を差し出せるような画力が身につけばいいのに....」
女の子は強く思いました。
友達に本心から喜んでもらいたいと思うからです。友達みたいに描けない大嫌いな自分から早く逃れたいからです。
でも、その後とんでもない事がおこるとはおもいませんでした。
一話
おえかき大会した友達と別れた後、女の子は友達に貰った上手な絵に心が踊るものの、気持ちは落ち込みます。
友達に対して「ごめんなさい」と言う気持ちでいっぱいでした。
友達のことを想うたびに上手にかけない自分を嫌に思いました。
こんな上手な絵をいつもありがとうの気持ちを絵で表したいのに分不相応な下手な絵でしか表せない自分を嫌に思いました。
女の子は、暗い気持ちで帰り道あるいていると、近所の公園付近で、見知らぬ優しいおばさんに出会いました。
「こんな顔してどうしたんだい?」優しげな顔でおばさんは女の子に話かけました。
おばさんのほっとさせる雰囲気に負けて、女の子は、モヤモヤしてる今の気持ちを話しました。
おばさんは、ニコニコしながら女の子の話をきいてくれました。
一通り女の子の話聞いてくれたあと、おばさんは、小さい瓶に入ったジュースのようなものを取り出し、女の子に差し出しました。
「これを飲んでごらんなさい。」
女の子は、おばさんのくれたジュースを一気に飲みました。若干薬のような苦さはあったがオレンジジュースの味がしました。
「お嬢さん。絵を、描いてごらんなさい。」
おばさんはジュースを飲み干した女の子に言いました。
女の子は、嫌々紙とシャープペンシルを取り出して絵を描いてみました。
するとどうでしょう?
自分の想像通りに絵が描けました。自分の腕じゃないみたいに描けます。それも、プロの漫画家のような絵です。
女の子は、信じられないと思いながらも嬉しい気持ちでした。
「これなら、友達もきっと本心で喜んでくれる!!!」
心の底からそう思いました。
「お嬢さん、この薬は一つ三万円だよ。気に入ったなら買うかい?」
おばさんは、今度は大きな瓶を取り出して女の子に言いました。
「買う!!買うわ!!!」
女の子はおばさんの問いに即答して三万円をすぐに貯金からおろして薬を購入しました。
薬を手に入れた女の子は、笑いが止まらなくなりました。
続く。